〜拍感・装飾音・ペダル・ポリフォニー・アーティキュレーション〜
バロック音楽をピアノで弾くとき、「バッハって難しい」「どう弾けば“らしく”なるの?」と感じたことはありませんか?
実は、バロック音楽には当時の演奏様式に基づいた“お作法”のようなものがあります。
でもご安心ください。いくつかのポイントを押さえるだけで、演奏はぐっと“バロックらしく”変わっていきます。
この記事では、ピアノでバロック音楽を演奏する際に意識したい5つの大切なポイントをご紹介します。
特に、装飾音やペダルの使い方は現代ピアノで演奏する上でのカギとなりますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 拍をしっかり感じて演奏する
バロック音楽では、拍の重みと方向性を明確に感じることがとても大切です。
2拍子や3拍子では、強拍と弱拍の関係を意識することで、音楽に自然な躍動感が生まれます。
たとえば、メヌエットのような3拍子では、1拍目をやや重く、2・3拍目を軽く弾くと、舞曲らしい表情が引き立ちます。
バロックのリズムは、均等ではなく、拍を感じながら音楽が進むことで魅力が生まれます。
装飾音(オーナメント)を理解し、活かす
トリルやモルデント、アッポジャトゥーラなどの装飾音は、バロック音楽に欠かせない表現手段です。
楽譜に書かれていない場合でも、当時は演奏者が自分で加えることが一般的でした。
現代の演奏でも、旋律の流れや和声の変化を読み取りながら、装飾を音楽的に取り入れると“らしさ”が際立ちます。
装飾音はただの飾りではなく、旋律を歌わせるためのエッセンスとして活用しましょう。
3. ペダルは控えめに。ピアノの特性を活かして使う
現代のピアノは、バロック時代のチェンバロやクラヴィコードとは構造も響き方も異なります。
そのため、バロック作品でも曲によっては浅く短いペダルを取り入れることで、自然な余韻や深みを加えることができます。
たとえば、バッハ《イタリア協奏曲》第2楽章のように、持続音や広がりが求められる場面では、繊細なペダリングが効果的です。
ただし、ロマン派のように長く踏みっぱなしにするのは不適切です。
響きが濁らないように、控えめに補助的に使うことを心がけましょう。
4. 声部をバランスよく響かせる(ポリフォニーの意識)
バロック音楽の多くはポリフォニック(多声音楽)で書かれており、複数の声部が独立して進行します。
バッハのインヴェンションやフーガなどでは、すべてのパートが主役です。
左右の手に分かれたメロディと伴奏だけでなく、内声や対旋律も丁寧に扱うことで、音楽に立体感が生まれます。
耳を使って、それぞれの声部を自然に“歌わせる”よう意識しましょう。
5. アーティキュレーションを丁寧に選ぶ
バロック音楽の楽譜には、スラーやスタッカートといったアーティキュレーション記号が少ないため、演奏者の判断が求められます。
舞曲では軽やかな切れ味、語りかけるような旋律では滑らかなタッチなど、フレーズや曲の性格に合った弾き方を選ぶことが重要です。
古楽器では音の余韻が短く、タッチのニュアンスだけで音楽の表情をつけていました。
現代ピアノでも、ペダルに頼らずタッチで語る意識を持つことで、バロックらしい響きに近づきます。
まとめ:ピアノでバロック音楽を“らしく”演奏するには
バロック音楽をピアノで演奏する際は、ただ譜面通りに弾くだけでなく、時代様式を理解しながら、現代ピアノの特性に応じた表現を工夫することが大切です。
拍の意識、装飾音の扱い、ペダルの工夫、声部のバランス、アーティキュレーションの選び方——
これら5つのポイントを意識することで、演奏がぐっと“バロックらしく”洗練されていきます。
バッハやヘンデル、スカルラッティなどの作品をより深く味わうために、ぜひ今日からの練習に取り入れてみてください。
ドイツ在住作曲家が主宰
4期の様式を理解して表現に活かす
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